Special Issue

伊勢丹新宿店で開催中のハウス オブ ロータスのポップアップストア” Long Time No See -フレッシュな自分、フレッシュな気分- ”に並んでいる観葉植物は、ボタニカルアトリエ「ルスルス」の庄司愛さんのセレクトです。
庄司さんに観葉植物の魅力、上手な育て方、選び方のコツまでお話しをうかがいました!
かれん  我が家にもルスルスさんで購入したカシワバゴムノキとモンステラの鉢があります。ルスルスさんの植物は、枝ぶりが素敵ですよね。

庄司  ありがとうございます。
かれん  庄司さんのグリーンコーディネーターというお仕事とは、どのようなことをされるのですか?

庄司  グリーンにまつわることはなんでもします。でも、切花は扱っていなくて、鉢もの植物だけです。店舗の内や外に植物の鉢を配置したり、植栽をしたり。大きなオフィスの中に観葉植物をコーディネートして、その後のメンテナンスを行ったり。個人邸の室内、テラス、お庭のコーディネートもします。月に1〜3回の不定期ですが、アトリエをオープンして直接販売もしています。

かれん  グリーン系の仕事って男の人が多い気がするのですけれども、ルスルスさんは庄司さんをはじめ、スタッフの方もみなさん女性なのが印象的です。大きな植物を運んだり、力仕事が多くて大変な仕事ですよね。

庄司  女性でも2トントラックを運転しますよ。根巻きの大きな木を植えたりもしますし。本当に大きな木を扱う庭木の植栽をするときは造園家の方たちと一緒に作業します。
かれん  もともと植物が好きだったのですか?

庄司  母が家庭菜園が好きで、子供のころから一緒にニンジンをつくったり、植物を育てることが身近でした。母は観葉植物も大好きで、育てては近所に配って、物心ついたときから、家の中には観葉植物がありました。小学校のときに大好きだったのが、ホームセンターの園芸コーナーです。
家の近所に「花の木」というホームセンターがあって、そこのグリーンショップが素晴らしくて、放課後に通っていました。アジアの家具やパラソルなど素敵な家具や什器とともに観葉植物の鉢が並んでいて。
おこづかいを貯めては小さな鉢を買うのが楽しみでした。
かれん  植物のコーディネートをするときに、指針にしていることはありますか?

庄司  観葉植物って珍しいものがいっぱいあるんですけれど、見た目や希少価値ではなく、お客様のライフスタイルに合わせて選ぶようにしています。たとえば、忙しい方なら水やりをうっかり忘れても枯れない植物など。
生き物ですので、まずは、育てていただくことが大切だと思っています。私がマメな性格ではないので、取り扱っているのは、私でも育てられる強い子ばっかりです(笑)。
今回のポップアップショップに持っていくテトラスティグマもすごく強い植物でおすすめです。

かれん  ブドウの葉のようで素敵ですね。
庄司  インテリアの植物のコーディネートは、「今、置きました」という感じではなく、こなれた感じに、できるだけ空間に馴染むように気をつけています。上に伸びる植物だけ置いちゃうと、整然と並べた感じになってしまいますので、横に広がる植物や下にしだれる植物を組み合わせていくと、馴染んでいきます。
観葉植物は、技術的に同じような枝ぶりのものが大量生産されているものも多いのですが、一度、アトリエで養生して、葉が自然に動き出してからお店に出すようにしています。生産者さんから仕入れをしたら、そのままショップに出すのではなく、一度、鉢から出して、土をブレンドして植え替えてから並べています。

かれん  土の配合で育ち方が違いますよね。植え替えって、初心者には難しいと感じるハードルがあります。
庄司  アトリエショップが開く日には、ご自宅の植物をお持ち込みして、鉢だけ購入して植え替えていただくことが可能です。一緒に植え替えると、ご自身でもわかるようになるのでおすすめです。剪定の方法なども、お客様が何度かいらっしゃるとだんだん覚えていかれます。剪定もきちんとすればきれいな枝振りになっていくんですよ。

かれん  ルスルスさんのように、相談できる場所があると心強いですね。観葉植物を枯らさないようにするにはどうすればいいかが、いちばん気になります。お店で選ぶときにも慎重になりますし。

庄司  観葉植物ブームの今、生産が追いつかないほどで、きちんと根っこが張る前に店頭に出されている鉢もあります。大きな植物は幹がぐらつかないかチェックします。プラ鉢がきれいすぎるものには要注意。
大きく育てるためには、時間がかかります。プラ鉢がちょっと汚れていたり、土も苔むしたりしているほうが、安心感があります。
かれん  なるほど。庄司さんは、観葉植物のどのようなところにいちばん魅力を感じますか?

庄司  インテリアは直線が多い人工物ですが、その空間の中に、人間では作れない自然の曲線が入ることによって、雰囲気がぱっと魅力的になります。室内に植物の木陰がつくれることも素敵です。壁に映る葉っぱの影や、葉がさらさらとそよぐ音が室内に感じられるのは、豊かな生活だと思います。

かれん 人間とは違うサイクルで生きるものが生活の中にあることの大きさを感じて、私はこの2年のステイホーム中、植物の世話をすることでずいぶん心の平安を感じることができました。

庄司  わかります。プリッと出てきた小さな新芽は、生きているという感じがして、愛おしいですよね。

<後編>につづく・・・
Profile 庄司愛(Ai Shoji)

「都市の小さな森づくり」を目指す、ボタニカルアトリエ「ルスルス(RESSOURCES)」代表
インテリアコーディネーターを目指している時に、グリーンコーディネートを専門にする職種があるのを知り、観葉植物専門店に勤める。その後2008年に独立し「合同会社 RESSOURCES」を設立。
仕事は、商業施設のグリーン空間の演出から個人邸宅のインテリア、エクステリアなど多岐にわたる。