ハリウッドのセレブリティたちが愛用するなど世界中に人気が広がっているワユーバッグをご存じですか? 南米のコロンビアとベネズエラの国境近くに暮らすワユー族の伝統工芸のバケツ型のバッグで、最近、日本でもよく見かけるようになりました。たくさんのワユーバッグがある中で、ルーシー真央さんがディレクターを務める「Wayuu Bags Japan」のものは、格別に上質で洗練されています。ルーシーさんに、ワユーバッグや現在の仕事について、また、南米の暮らしについて、お話をうかがいました。
かれん ルーシーさんは、どのようなきっかけで、ワユーバッグと出会われたのですか?
ルーシー 高校を卒業後、オーストラリアで生活することになり、コロンビア人の夫と出会って結婚しました。夫の仕事の関係でオーストラリアからベネズエラのマラカイボという都市に移り、そこが先住民族のワユー族が住んでいる地域と隣接していて、初めてワユー族の文化を知ることになったのです。
かれん ファッションの仕事をされていたわけではなかったのですね。
ルーシー 昔からファッションはすごく好きでしたが、仕事をしていたわけではなくて。ワユーバッグを知るより前に、ワユー族の人たちと知り合いになったことが、そもそものはじまりです。ワユー族は、女性たちが母から娘へかぎ編みの技術を継承して、一家の生活を支えています。ワユー族のバッグをハリウッドのセレブたちがリゾート地などで持つようになって注目されましたが、ビビッドな原色の組み合わせのものがほとんどで、クオリティも安定していなくて、飽きられるのも早そうでした。
そこで、もっと日常的に使うことができる上質なデザインや配色にすれば、一過性の流行ではなくなるのではないかな、と思ったのです。長く受け入れられるものになれば、持続的にワユー族の人々の生活も潤うはず、と。日本人の肌の色にも馴染むような配色や、通年のファッションアイテムとして取り入れていただけるようなデザインをディレクションして、10年くらいが経ちます。4年前からは、拠点をコロンビアに移しました。
ルーシー 高校を卒業後、オーストラリアで生活することになり、コロンビア人の夫と出会って結婚しました。夫の仕事の関係でオーストラリアからベネズエラのマラカイボという都市に移り、そこが先住民族のワユー族が住んでいる地域と隣接していて、初めてワユー族の文化を知ることになったのです。
かれん ファッションの仕事をされていたわけではなかったのですね。
ルーシー 昔からファッションはすごく好きでしたが、仕事をしていたわけではなくて。ワユーバッグを知るより前に、ワユー族の人たちと知り合いになったことが、そもそものはじまりです。ワユー族は、女性たちが母から娘へかぎ編みの技術を継承して、一家の生活を支えています。ワユー族のバッグをハリウッドのセレブたちがリゾート地などで持つようになって注目されましたが、ビビッドな原色の組み合わせのものがほとんどで、クオリティも安定していなくて、飽きられるのも早そうでした。
そこで、もっと日常的に使うことができる上質なデザインや配色にすれば、一過性の流行ではなくなるのではないかな、と思ったのです。長く受け入れられるものになれば、持続的にワユー族の人々の生活も潤うはず、と。日本人の肌の色にも馴染むような配色や、通年のファッションアイテムとして取り入れていただけるようなデザインをディレクションして、10年くらいが経ちます。4年前からは、拠点をコロンビアに移しました。
かれん ベネズエラやコロンビアでは、ワユーバッグはだれもが持っている日常的なものなのですか?
ルーシー はい。現地では「モッチーラ」と呼ばれていて、女性はもちろん、おじさんが斜めがけにして持っていたり、学校のスクールバッグとして使われたりすることもあります。性別、年代関係なく、みんなが普段使いしているバッグです。でも、こうしたバッグは、伝統工芸そのものという雰囲気で、色ももっと派手なのです。
かれん 南米の民族衣装のような感じですね。ポンポンも付いているのがふつうなのですか?
ルーシー ポンポンは、付いているものもあれば付いていないものもあります。男の人はポンポンを中に入れて使っていたりすることが多いです。
ルーシー はい。現地では「モッチーラ」と呼ばれていて、女性はもちろん、おじさんが斜めがけにして持っていたり、学校のスクールバッグとして使われたりすることもあります。性別、年代関係なく、みんなが普段使いしているバッグです。でも、こうしたバッグは、伝統工芸そのものという雰囲気で、色ももっと派手なのです。
かれん 南米の民族衣装のような感じですね。ポンポンも付いているのがふつうなのですか?
ルーシー ポンポンは、付いているものもあれば付いていないものもあります。男の人はポンポンを中に入れて使っていたりすることが多いです。
かれん ルーシーさんがディレクションしたワユーバッグは、都会的だし、ファッションに取り入れやすくて素敵です。1個1個、かぎ編みでつくられているのですよね。バッグを1個つくるのには、どれくらいの期間がかかるのですか?
ルーシー デザインにもよりますが、早い職人さんだと、だいたい1個につき1か月くらいですね。
かれん アジアの民族では、女性は刺繍が必須のたしなみで、母から娘に技を伝える文化がよくみられますが、コロンビアの女性たちも、代々、かぎ編みの技が伝えられているのでしょうか?
ルーシー デザインにもよりますが、早い職人さんだと、だいたい1個につき1か月くらいですね。
かれん アジアの民族では、女性は刺繍が必須のたしなみで、母から娘に技を伝える文化がよくみられますが、コロンビアの女性たちも、代々、かぎ編みの技が伝えられているのでしょうか?
ルーシー コロンビアにはたくさんの先住民族が住んでいますが、かぎ編みが伝わるのはワユー族だけです。でも、ワユー族の女性だからといって全員ができるわけではなくて、上手な人もいれば、上手じゃない人もいます。
かれん 写真で拝見しましたが、ワユー族は砂漠の土の家に暮らしていて、女性たちが屋外で、バッグを編んでいるのですよね。
ルーシー はい、子育てや家事の合間にバッグを編んでいます。子どもがたくさんいる家庭が多くて、男の人たちはヤギなど家畜の世話をしています。女性たちが編むバッグが、家庭を経済的に支えています。
ルーシー はい、子育てや家事の合間にバッグを編んでいます。子どもがたくさんいる家庭が多くて、男の人たちはヤギなど家畜の世話をしています。女性たちが編むバッグが、家庭を経済的に支えています。
かれん ワユーバッグのデザインや模様はたくさんの種類がありますが、伝統的な意味があるのでしょうか?
ルーシー 定番のジグザグ模様は「山」という意味があります。ほかにも「魚の目」という意味の模様。デザインが同じでも、ひとつひとつハンドメイドなので、世界に二つとないのが魅力です。バッグの底の部分のデザインは、職人さんそれぞれにまかせているので、個性が出ておもしろいです。伝統的なものを現代のファッションに落とし込みたくて、最近は、機能性を考えて、巾着や2wayバッグ、トートバッグをつくったり、星型やスマイルマークなどのデザインを考案したりしています。職人さんたちが新しいデザインも意欲的にチャレンジしてくれて、ありがたいです。
ルーシー 定番のジグザグ模様は「山」という意味があります。ほかにも「魚の目」という意味の模様。デザインが同じでも、ひとつひとつハンドメイドなので、世界に二つとないのが魅力です。バッグの底の部分のデザインは、職人さんそれぞれにまかせているので、個性が出ておもしろいです。伝統的なものを現代のファッションに落とし込みたくて、最近は、機能性を考えて、巾着や2wayバッグ、トートバッグをつくったり、星型やスマイルマークなどのデザインを考案したりしています。職人さんたちが新しいデザインも意欲的にチャレンジしてくれて、ありがたいです。
かれん 私もアジアの職人さんたちとものづくりをしていますが、最初は、国民性や風土に左右されるし、大変だったのではないですか? たとえば、インドでは「今は、雨季だから作業が進まない」「お祭りがあるから仕事はできない」というのは当たり前。
ルーシー はい、ワユー族の人たちもみんなおおらかでのんびりしています。以前は、頼んだものが出来上がってこなかったり、まったく違って出来上がってきたり、大変な思いもしました。
かれん 全然違うものができてきても、「こっちのほうがいいじゃないか」と言われたりね(笑)。
ルーシー そうそう(笑)。最近は、職人さんをまとめてくれるリーダーの方のほうが私よりもしっかりしていて、「5mm大きいけど編み直したほうがいい?」「ちょっと小さいけどどうする?」なんてメッセージをくれたり、安心してまかせられるようになりました。
ルーシー はい、ワユー族の人たちもみんなおおらかでのんびりしています。以前は、頼んだものが出来上がってこなかったり、まったく違って出来上がってきたり、大変な思いもしました。
かれん 全然違うものができてきても、「こっちのほうがいいじゃないか」と言われたりね(笑)。
ルーシー そうそう(笑)。最近は、職人さんをまとめてくれるリーダーの方のほうが私よりもしっかりしていて、「5mm大きいけど編み直したほうがいい?」「ちょっと小さいけどどうする?」なんてメッセージをくれたり、安心してまかせられるようになりました。
かれん それは心強いですね。南米には、ずっと行ってみたいと思いながら、私はまだ旅する機会がなくて。コロンビアってどのような国ですか?
ルーシー 私が住んでいるのは、コロンビアの首都、ボゴタです。雨も多いですが、標高が高いので一年中、日本の秋のような気候で過ごしやすいところですよ。スペインの植民地だった時代が長かったこともあり、街並みはレンガの建物があって、ヨーロッパのような雰囲気で、緑も多くて気持ちがいい街です。一方、ワユー族が住んでいるグアヒラ県は、海沿いにある砂漠地帯。雨季もあって、一年中暑いです。ワユー族独自の法制度があることも知られています。ボゴタからはグアヒラ県に行くまでに、飛行機で2時間弱、さらに四駆の車で2時間ほど走ります。ちょっと過酷なドライブです(笑)。
かれん 南米は海もきれいそうですよね。バカンスに行くようなリゾートもありますか?
ルーシー はい。カリブ海沿いにカルタヘナという有名なリゾートがあります。白い砂浜のビーチがあり、街は古城があって、その城壁の中にホテルがあります。
かれん いつか行ってみたいです。ルーシーさんは、コロンビアではいつもどのような毎日を過ごしていらっしゃるのですか?
ルーシー 実は、コロナの影響で、去年の2月から娘と日本で過ごしているのですが、コロンビアにいるときは、夫と娘と三頭の犬と暮らしています。朝は、娘を学校に送り出して、犬の散歩をして、コーヒーを飲んで…という感じです。ワユー族やクナ族の女性たちとは、メールでメッセージや写真、デザイン画のやりとりをしています。月に1、2回は現地を訪れます。
かれん ワユーバッグのほかにも、テキスタイルやアクセサリーも展開されていらっしゃいますよね。
ルーシー 私が住んでいるのは、コロンビアの首都、ボゴタです。雨も多いですが、標高が高いので一年中、日本の秋のような気候で過ごしやすいところですよ。スペインの植民地だった時代が長かったこともあり、街並みはレンガの建物があって、ヨーロッパのような雰囲気で、緑も多くて気持ちがいい街です。一方、ワユー族が住んでいるグアヒラ県は、海沿いにある砂漠地帯。雨季もあって、一年中暑いです。ワユー族独自の法制度があることも知られています。ボゴタからはグアヒラ県に行くまでに、飛行機で2時間弱、さらに四駆の車で2時間ほど走ります。ちょっと過酷なドライブです(笑)。
かれん 南米は海もきれいそうですよね。バカンスに行くようなリゾートもありますか?
ルーシー はい。カリブ海沿いにカルタヘナという有名なリゾートがあります。白い砂浜のビーチがあり、街は古城があって、その城壁の中にホテルがあります。
かれん いつか行ってみたいです。ルーシーさんは、コロンビアではいつもどのような毎日を過ごしていらっしゃるのですか?
ルーシー 実は、コロナの影響で、去年の2月から娘と日本で過ごしているのですが、コロンビアにいるときは、夫と娘と三頭の犬と暮らしています。朝は、娘を学校に送り出して、犬の散歩をして、コーヒーを飲んで…という感じです。ワユー族やクナ族の女性たちとは、メールでメッセージや写真、デザイン画のやりとりをしています。月に1、2回は現地を訪れます。
かれん ワユーバッグのほかにも、テキスタイルやアクセサリーも展開されていらっしゃいますよね。
ルーシー コロンビアとパナマの国境付近の先住民族、クナ族がハンドステッチングしたテキスタイル・モラを使ったアートやバッグを「PITAYA(ピタジャ)」というブランドで展開しています。
また、モンポスという街に伝わる銀線細工「フィリグラーナ」を中心にしたアクセサリーブランド「LULO(ルロ)」にも力を入れています。フィリグラーナは、ポルトガルの伝統工芸だったものがコロンビアに伝わったといわれています。純度の高いシルバー970が繊細で美しいです。
かれん オール・コロンビア・メイドですね。
ルーシー コロンビアはエメラルドの原産国ですし、たくさん民族がいて、それぞれに伝統工芸があります。どれも素晴らしいので、それらを組み合わせて、コロンビアの伝統工芸を総合的に紹介できるブランドにしていけたら、と思っています。
かれん 世界の伝統工芸が失われつつある中で、南米の文化はあまり日本で知られていないので、これからもいろいろ紹介していただきたいです。楽しみにしています。
ルーシー コロンビアはエメラルドの原産国ですし、たくさん民族がいて、それぞれに伝統工芸があります。どれも素晴らしいので、それらを組み合わせて、コロンビアの伝統工芸を総合的に紹介できるブランドにしていけたら、と思っています。
かれん 世界の伝統工芸が失われつつある中で、南米の文化はあまり日本で知られていないので、これからもいろいろ紹介していただきたいです。楽しみにしています。
Profile ルーシー真央 Mao Russi
1982年7月13日生まれ。 オーストラリアで出会ったコロンビア人と結婚後、ベネズエラへ移住しワユー族と出会う。
ワユー族の伝統工芸、ワユーバッグに魅せられ、「Wayuu Bags Japan」を立ち上げ。
その後、コロンビアへ移住し、コロンビアのさまざまな伝統工芸を組み合わせファッションアイテムへ落とし込み、活動の幅を広げている。
♢Wayuu Bags Japanのインスタグラムはこちら
♢Wayuu Bags JapanのHPはこちら
♢PITAYA COLOMBIA のインスタグラムはこちら
♢PITAYA COLOMBIA のHPはこちら
◆7月11日(日)まで開催中 六本木ヒルズ POP UP STOREにて、「Special Selection by "Wayuu Bags Japan"」と題し、WAYUU・PITAYAのバッグ、LULOのアクセサリーを展開しています。
六本木POP UP STOREについて詳しくはこちら
◆8月11日(水)~8月24日(火)の期間、ハウス オブ ロータス 伊勢丹新宿店にてWayuu bags Japanの期間限定イベントを予定しております。 どうぞお楽しみに!
1982年7月13日生まれ。 オーストラリアで出会ったコロンビア人と結婚後、ベネズエラへ移住しワユー族と出会う。
ワユー族の伝統工芸、ワユーバッグに魅せられ、「Wayuu Bags Japan」を立ち上げ。
その後、コロンビアへ移住し、コロンビアのさまざまな伝統工芸を組み合わせファッションアイテムへ落とし込み、活動の幅を広げている。
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◆7月11日(日)まで開催中 六本木ヒルズ POP UP STOREにて、「Special Selection by "Wayuu Bags Japan"」と題し、WAYUU・PITAYAのバッグ、LULOのアクセサリーを展開しています。
六本木POP UP STOREについて詳しくはこちら
◆8月11日(水)~8月24日(火)の期間、ハウス オブ ロータス 伊勢丹新宿店にてWayuu bags Japanの期間限定イベントを予定しております。 どうぞお楽しみに!