Love of Food

さわやかな風が気持ちのよい季節になりました。海外へ気ままに旅することができなくなって1年以上が経ちますが、きっと今ごろ、ヨーロッパも素晴らしい季節にちがいありません。懐かしい旅を思い出して、東京に緊急事態宣言が出される前の休日、我が家の庭で、友人たちとスペイン&バスク風の気軽なランチパーティを楽しみました。
2016年にフランスとスペイン両国にまたがるバスク地方を訪れたとき、ニューヨークに住んでいる親友が「バスクに行くなら、ここのバルでこれを食べるべし!」というリストをつくってくれて、それを握りしめて、ワインやピンチョスを大満喫しました。実はこのときに、彼女が「人生でいちばんおいしかったチーズケーキ」と教えてくれたのが、「La Viña(ラ・ビーニャ)」というバルのチーズケーキ。その言葉にいつわりはなく、とろけるように甘美でおいしかったのです。
バスクのチーズケーキをまた食べたい、と思っていたところ、「スイーツ男子」ともいえるお菓子づくり達人、友人のゴウさんを思い出しました。ゴウさんはときどき手づくりのお菓子をつくって手土産にもってきてくれるのですが、いつもプロ並みの美味しさと美しさなのです。そうだ、ゴウさんにバスクチーズケーキのつくり方を教えてもらおう! 早速、ゴウさんに「バスクチーズケーキつくったことある?」と尋ねると、「もちろん!」と頼もしいお返事。ゴウさんと仲良しの友人たちも招いて、お菓子づくりとランチパーティを企画しました。
ゴウさんに教えてもらったバスクチーズケーキの材料は、クリームチーズ、卵、グラニュー糖、卵、生クリーム、薄力粉の5種類のみ。
電動のハンドミキサーを使う必要もなく、材料をていねいに混ぜていくだけでつくることができます。
詳しいつくり方は、桐島かれんYouTube 「at Home #9 バスクチーズケーキ 〜材料5つでとびきりの美味しさ!〜」からご覧ください。
ゴウさんが慣れた手つきで、材料をふるい、混ぜて、220℃のオーブンで40分程度焼くと、美味しそうなバスクチーズケーキが完成しました。アメリカでは「Burnt Basque Cheesecake」と呼ばれることもあって、あえてトップをこんがりと焼いています。
お菓子づくりは、材料をきちんと計ることが美味しさの秘訣ですが、実は、大雑把な性格で、それが得意ではない私。ですので、今回、私は、「トルティージャ」と呼ばれるスパニッシュオムレツと「ボガティージョ」と呼ばれるスペイン風のサンドウィッチとサラダを担当しました。
スパニッシュオムレツは、玉ねぎとじゃがいもをオリーブオイルで炒めて、フライパンから一度ボウルに移し、その熱々のところに卵を入れて混ぜ合わせます。
再びフライパンに戻して焼けば、できあがり。食べるときに、オリーブオイルをかけると、オリーブの果実味が加わって、さらに美味しくなります。
トマト、生ハム、レタス、スペインのチーズ「マンチェゴ」を挟んだスペイン風サンドイッチと、オリーブオイルでカリカリに炒めたしらすのサラダも並べて、青空の下、バスクのワイン「チャコリ」で乾杯です。

ピレネー山脈の両側、フランス南部とスペイン北部に位置するバスク地方を、私が最初に旅したのは、20代のはじめのころ。バスクで暮らす人々はフランスやスペインとも違う独自の文化や言語をもっています。夏におなじみの麻の靴であるエスパドリーユの発祥の地でもあり、上質な麻は、バスク・リネンとしてもよく知られています。
5年前に訪れたスペイン側のバスクの街、サン・セバスチャンは、ビスケー湾に面したヨーロッパの貴族たちの避暑地というだけあって、とても優雅な雰囲気でした。美食の街としても有名でミシュランの星付きのレストランもありますが、なんといってもお楽しみは、バル・ホッピングです。
旅の思い出や美味しい食べ物についておしゃべりしていると、楽しい時間があっという間に過ぎていきます。デザートにいただいたゴウさんのバスクチーズケーキは、まるでムースのように滑らかで甘さは控えめ。思ったとおり、とびっきりの美味しさでした。また、みんなで集まれる日常が、1日でも早く戻ってきますように。

詳しいレシピはこちら:
桐島かれんYouTube 「at Home #9 バスクチーズケーキ 〜材料5つでとびきりの美味しさ!〜」