Love of Travel

アートと触れ合うのもパリ滞在の楽しみのひとつですが、大人のパリの旅におすすめしたいのは、小さな個人美術館やギャラリーを訪ねること。大きな美術館で名画と出会うのとはまた違う、より親密にアートと接する喜びがあります。友人である「ギャルリーためなが フランス」の為永清嗣さんとの対談では、パリのアートについての興味深いお話をたくさんお聞きできました。
生前のアトリエがそのままの状態でミュージアムになっている、彫刻家アントワーヌ・ブールデルの美術館。入るのに行列覚悟の美術館とは違い、小一時間ほどでも十分に楽しめるところもおススメ。
1969年に日本で唯一西洋絵画の名匠を扱う画廊として誕生した「ギャラリーためなが フランス」の為永清嗣さんと。
セーヌ川沿いに連なる、古書、昔の雑誌、絵やポストカードを売る「ブキニスト」は古き良きパリの風景の一部。
セーヌ川のほとりに並ぶブキニスト、クリニャンクールやヴァンヴの蚤の市、17世紀の街の雰囲気が残るパッサージュ、ミントティーをいただけるラ・モスケ(イスラム寺院)のサロン・ド・テ、地域ごとに立つマルシェは、20代で初めてパリを訪れたときからずっと好きな場所。どれほど時が流れても、変わらない日常の風景があるのが、パリの素敵なところです。
クリニャンクールの蚤の市は、世界最大級の規模。ありとあらゆる分野のアンティークが揃っていて、いつ来ても飽きることがありません。
毎週土曜日に開催される、バティニョールの朝市は、ビオ(有機栽培)に特化した人気のマルシェ。
そうそう、表紙のことをお話ししなければ! ロケ場所はエッフェル塔を一望できるトロカデロ広場。ふだんは多くの人で賑わう観光スポットですが、雨が止んだばかりで人も少なく、偶然、ピンク色の風船をたくさんつけた自転車が通りかかって、映画のワンシーンのような奇跡的なワンカットが撮影できたのでした。
セーヌ川をはさんで、エッフェル塔を真正面に捉えるトロカデロ広場。たまたま通りかかった風船を沢山つけた自転車に吸い寄せられるように近づいた瞬間におさめたカットが表紙となりました。
歩いているだけでパリの美しさを感じられるチュイルリー公園。その先に見えるのがルーブル美術館。
ある日の撮影が終わったあとの夕暮れどきに、夫とふたりでチュイルリー公園を散歩したのも、いい思い出です。移動遊園地の遊具から子どもたちのにぎやかな声が聞こえてきたり、おじさんたちがペタンクをしていたり、カップルが椅子に座っておしゃべりをしていたり、平穏なパリの日常の中を歩くことができて、なんとも幸せな気持ちになりました。
夏のパリの風物詩。チュルリー公園の移動遊園地。
グレー色の空の冬のパリもアンニュイな雰囲気でとても素敵ですよね。シャンゼリゼのイルミネーションや、街中に出る焼き栗の屋台も冬の風物詩。ドレスアップして行くことができるオペラやバレエの公演も多い時期ですので、大人ならではの楽しみを最も満喫できる季節ともいえます。
映画「男と女」で世界的に有名になったドーヴィルの海岸。板張りの遊歩道には、アール・デコスタイルのキャビンが並びます。
『KAREN’s』でも紹介した、パリから日帰りか一泊で行くことができるノルマンディのドーヴィルも、オフシーズンの冬に訪ねると、映画『男と女』の一場面のようにロマンチックでおすすめです。
高級避暑地のドーヴィルは、競馬の街としても知られています。富豪の館、ヴィラ・ストラスブルジェにて。
冬のパリの旅、ぜひ、『KAREN’』をおともに、楽しんできてください。


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