アートと触れ合うのもパリ滞在の楽しみのひとつですが、大人のパリの旅におすすめしたいのは、小さな個人美術館やギャラリーを訪ねること。大きな美術館で名画と出会うのとはまた違う、より親密にアートと接する喜びがあります。友人である「ギャルリーためなが フランス」の為永清嗣さんとの対談では、パリのアートについての興味深いお話をたくさんお聞きできました。
セーヌ川のほとりに並ぶブキニスト、クリニャンクールやヴァンヴの蚤の市、17世紀の街の雰囲気が残るパッサージュ、ミントティーをいただけるラ・モスケ(イスラム寺院)のサロン・ド・テ、地域ごとに立つマルシェは、20代で初めてパリを訪れたときからずっと好きな場所。どれほど時が流れても、変わらない日常の風景があるのが、パリの素敵なところです。
そうそう、表紙のことをお話ししなければ! ロケ場所はエッフェル塔を一望できるトロカデロ広場。ふだんは多くの人で賑わう観光スポットですが、雨が止んだばかりで人も少なく、偶然、ピンク色の風船をたくさんつけた自転車が通りかかって、映画のワンシーンのような奇跡的なワンカットが撮影できたのでした。
ある日の撮影が終わったあとの夕暮れどきに、夫とふたりでチュイルリー公園を散歩したのも、いい思い出です。移動遊園地の遊具から子どもたちのにぎやかな声が聞こえてきたり、おじさんたちがペタンクをしていたり、カップルが椅子に座っておしゃべりをしていたり、平穏なパリの日常の中を歩くことができて、なんとも幸せな気持ちになりました。
グレー色の空の冬のパリもアンニュイな雰囲気でとても素敵ですよね。シャンゼリゼのイルミネーションや、街中に出る焼き栗の屋台も冬の風物詩。ドレスアップして行くことができるオペラやバレエの公演も多い時期ですので、大人ならではの楽しみを最も満喫できる季節ともいえます。
『KAREN’s』でも紹介した、パリから日帰りか一泊で行くことができるノルマンディのドーヴィルも、オフシーズンの冬に訪ねると、映画『男と女』の一場面のようにロマンチックでおすすめです。