Love of Travel

冬のお休みはどちらへ?そろそろこんな会話がなされる今日この頃。旅先としてパリを選ばれる方も多いのではないでしょうか。この秋に発売になった、私が責任編集をつとめる『KAREN’s』(角川SSCムック)vol.2は「大人のパリ」が第一特集。大人になった今だからこそ楽しんでいただける、クラシカルでエレガントなパリのアドレスをたくさん紹介しています。
セーヌ川岸の風景にはあちこちでエッフェル塔が顔をのぞかせます。
『KAREN’s』vol.1と同様、写真はすべて夫・上田義彦の撮りおろしです。イタリア、クロアチア、モンテネグロなどを家族で旅した後、パリで取材スタッフと合流して、10日間の撮影と取材を行いました。
撮影の合間に、スタッフと、ホテルの部屋にてテイクアウトのランチ。
早朝5時から日が暮れるまで(……そう、まだ日が長い時期でしたので、夜8時すぎまで撮影が可能!)、場所を変えて、衣装を替えて、毎日、撮影三昧でした。
日没が10時なので、夜9時半でこの明るさ。1日の撮影終わり、ドーヴィルの海岸にてハイ、ポーズ。
上流階級が社交を繰り広げた、黄金色に輝くオペラ座の大広間。
オペラ座「パレ・ガルニエ」は、午前中の開館前に撮影が許可され、バックヤードでバレエダンサーたちとすれ違ったりしながら、館内を動き回りました。
誰もいない観客席で見上げたシャガールの天井画の美しさは忘れることができません。
私の生まれ年、1964年にお披露目されたシャガールの天井画。モーツァルトの「魔笛」、チャイコフスキーの「白鳥の湖」など、14人の作曲家のイメージが220平米の大画面に展開されています。
マリー・アントワネット王妃がピアノのレッスンをしていたという「ロテル・ドゥ・クリヨン」のサロン・マリー・アントワネットは、素晴らしい内装のスイートルームへと繋がります。
5つ星ホテルよりもさらに格上の、文化的、歴史的価値のあるホテルにのみ与えられる“パラス”の称号をもつ「ロテル・ドゥ・クリヨン」や「ル・ムーリス」では、世界の王族や貴族、芸術家たちが滞在してきたスイートを紹介しています。
サロン・マリー・アントワネットに続くスイートは、パールグレーにうっすらパウダーピンクを添えた、とてもシックかつ愛らしい内装。美と自由を愛したアントワネットへのオマージュが感じられます。
「ル・ムーリス」のペントハウス・スイートは、天空に浮かぶ別世界。プライベートテラスからは、視覚360度というスケールでパリの風景を独り占めできます。
私にとって、パリの最大の魅力は、街に幾層にも積み重なっている歴史の気配を感じること。「この部屋からの風景をマリー・アントワネットも見ていたかもしれない」「この部屋でレナード・バーンスタインが作曲のアイディアを思いついたかもしれない」などと想像しただけで、胸が高まりました。
数あるパレスホテルの中でも「ル・ムーリス」のメインダイニングは格別。朝食のフレンチトーストが絶品でした!
カフェやレストランも、あえて、歴史や文化を感じることができる場所を厳選して紹介しています。ヴェルレーヌをはじめとする文学者や哲学者、政治家たちが集ったパリ最古のカフェ「ル・プロコープ」、1920年代のモンパルナスのアーティストたちが愛した「ラ・クーポール」など、老舗中の老舗ですが、大人になった今だからこそ、ゆったりとした気持ちで古い歴史に思いを添わせることができる気がします。


後編に続きます。