Special Issue

異国の大地で生まれた石や民族のお守り、手仕事の彫金をひとつにつなげて美しい世界観を生み出すMinakusiのアクセサリーは、エレガントでありながら、物語を身にまとうような雄大さを感じさせます。

パートナーの永井健一さんとともに、世界中を旅しながら、出会った人々の思いや訪れた場所の風土や文化を感受してアクセサリーを制作する永井英里さんに12の質問を尋ねました。
1. 今、行きたい旅先は?
ウズベキスタン。古都・サマルカンドの青いタイルの遺跡を見に行きたいです。

2. 人生に欠かすことができないものは?
旅。幼いころ、父親の仕事の関係で引っ越しが多かったから、移動することには慣れているのかもしれません。

3. いつも持ち歩いてるものは?
バッグ……だけど、中にはお水だけというときも。健(健一)さんと一緒に歩くときは、お財布も持ってもらっています。

4.おしゃれのポイントは?
髪をまとめて、かんざしを付けること。中国・雲南省の少数民族のものや猿の骨でつくられたインド北東部に暮らすナガ族のかんざしを気に入ってよく付けています。いつも身につけているのはピアスとバングル。金のピアスはミャンマーの女性からいただいたもの。バングルは想像の源である渦巻と、魔除けの意味もある目がモチーフになったタイのカレン族のものです。
5.好きな食べ物は?
甘いもの。インドを旅しているときは、現地で「キスミス」と呼ぶ緑色の干しぶどうをよく食べていました。インドはドライフルーツがおいしいのです。日本でも干しぶどうが食べたくなったときには、ぶどうパンを買います。デニッシュ生地の「パン・オ・レザン」がお気に入り。

6.次の休日の予定は?
仕事をすべて忘れる休日はほとんどないですが、今度、奈良のギャラリーでの展示会のときには、国立奈良博物館へ「正倉院展」を見に行こうと思っています。

7.人生の転機は?
学生時代にイギリスを旅したときに、宿泊先のB&Bのおばあちゃんと出会ったこと。私が手首に身につけていたエジプトのブレスレットのモチーフをきっかけに宗教や生死の意味を話しているうちに、インドの文化にまで話が広がって。それを機にインドに行ったら、すっかりはまってしまい、現在の仕事につながっていったというわけです。

8.クリエイティビティの源は?
アジアの国々で出会う昔の工芸品には、今では想像できないくらい時間と情熱をかけられた繊細なものがあって、憧れを感じます。古い工芸品のパーツを使って、次の人に届けるのが私たちの役割だと考えたとき、最初につくった職人さんたちの時間と情熱に応えたいという思いがいつもあります。インドでは石を削る職人さんたちが、ずいぶん少なくなったのですが、職人さんたちができるだけ得意な作業を生かせるようにデザインを考えることもあります。
9.自分のことをどんな性格だと思う?
ときどき言葉がストレートすぎて、後悔することがあります。(健さん曰く「不器用な人だよね。でも、いい奥さんでお前はラッキーだなとよく言われます」。「健さんは、ロマンティストで心配性。でも、男気があって頼りになる人です」と英里さん)

10.ストレス解消法は?
散歩。隣町までカレーを食べに行ったり、公園に行ったり、時間があるときはできるだけ歩くようにしています。体を動かすことを習慣にしていると、旅先でも長く歩くことができる気がします。

11.理想の休日は?
世界一周の船旅をすること。それを夢見て仕事をしています。(健さん曰く「目的地までの交通手段を考えなくていいからじゃない? 今はアジアの国を旅していても、次の街までバスで行くか、鉄道で行くか、考えなければならないことがいっぱいあるから」)

12.英里さんにとってのHappiness of lifeとは?
旅先で見知らぬ人の優しさを感じるとき。インドでも足をくじいて歩いていたら、通りすがりの人が「大丈夫?」と声をかけてくれて、うれしかったです。こうした小さな幸せな出来事の数々が、アクセサリーをつくるときのイマジネーションの泉になっています。
Profile



ながい・えり

大学時代に比較文化を学び、イギリス、インド、アジア各国、南米などを旅して、ジュエリーデザイナーに。「Minakusi」のブランドを立ち上げ、2003年よりパートナーの永井健一さんと共に活動を開始。