海外を旅している途中で街にいる犬や猫を見かけると、すぐに近寄ってかまいたくなります。よく「動物たちとの距離感が近い!」と驚かれるのですが、私は子どものころから大の動物好き。モコモコ、ふわふわ毛が生えている生き物が大好きなのです。
いちばん最初に飼ったのは、小学生のころに横浜の山下公園で拾った猫の「ヒミコ」。母も動物が好きだったからでしょうか、以来、ずっと猫のいる生活が続きました。歴代の猫のなかでも特に思い出深いのは、私がひとり暮らしを始めるときに実家から連れてきた「たりん」です。独身時代は9回も引っ越しをしたのですが、その間もずっとたりんが側にいました。
結婚するときも、たりんと一緒。私には“連れ猫”が、夫には2頭の“連れ犬”がいて、結婚と同時に夫婦と動物たちとのにぎやかな生活がはじまりました。さらには、子どもたちも生まれて、長年、私だけと静かな蜜月を過ごしてきた、たりんはさぞかし戸惑ったことでしょう。ときどき、子どもたちが寝静まったあと、ベッドに横たわった私のそばにそっと近づいてきて、私の髪をモミモミと揉んでいたのを覚えています。家族と共にたくさんの思い出をつくってくれて、二十年間も私の相棒でいてくれた、たりんには、今でも心から感謝しています。
犬、猫、ウサギ、ハムスター、モルモット、金魚……いつも我が家にはたくさんの動物がいましたが、子どもたちも大きくなったこともあり、今では犬が2匹と猫が1匹だけになりました。
犬と暮し始めたのは結婚してからのこと。独立独歩で自由を愛する猫に対して、犬は人が大好きで、リーダーについていくのが幸せな動物。動物にも、自分の子どもにも放任主義な私は、犬に厳しく接することのがなかなかできなくて、犬たちからは、“可愛がってくれるメイドさん”みたいな感じで見られている気がします。
2年ほど前、17年間一緒にすごしたチョコレート・ラブラドール・レトリバーのモネを看取りました。だんだん歩けなくなり、最後の数か月は、つきっきりで介護の日々でした。寂しいことに、人間よりも動物たちのほうが命が短く、必ずお別れの日がやって来ます。本当に悲しく辛く、身にこたえますが、それでも動物たちと一緒に過ごした優しく温かな時間は、私たち家族にとってかけがえのない大切な思い出です。
ジャック・ラッセル・テリアの「マティス」とトイ・プードルの「セザンヌ」、黒猫の「ライカ」。みんな大切な私の家族。犬たちはそれぞれ10歳を越えましたが、まだまだ、これからも一緒に楽しい思い出を紡いでいけたらと願っています。