私にとって、この旅の大発見だったのは、中国では見かけることがなくなった大好きなウエディング・バスケットが、なんとマラッカでつくられていたことです!
私は学生時代にアンティークのものをバンコクで購入したことがありますが、マラッカの商店で素朴な現行品を見つけて大興奮! 婚礼の際に反物やフルーツなどを入れて運ぶ、おめでたい籠で、中国の都市部では今やアンティークショップでしか見当たりません。おそらく、もう中国ではほとんどつくられていないと思われるウエディング・バスケットがマラッカには残っていることがわかって、救われたような気持ちになったのでした。発祥の地ではすたれてしまった伝統がほかの国に息づいていることの尊さと貴重さ。アジアの国々で買い付けをしていると、このように文化が交流し、移り行く姿に出合い、こうした発見こそが、なによりも旅するおもしろさだとしみじみ感じるのでした。
プラナカンの伝統的な提灯を制作する職人さんにも会いに行きました。家の名前や職業が描かれる手づくりの提灯をつくることができる職人さんは、唯一、83歳のアン・テン・タさんしか残っていないのだとか。マラッカの博物館やプラナカンの豪邸に飾られているのは、ほとんどが彼の作品のようです。私も「ハウス オブ ロータス」の店舗のためにオーダーしてきましたが、名前を書いたウエィティングリストにはずらりと順番待ちの人が連なり、約3年待ちといいます。
そのほか手が込んだ華奢なビーズのサンダル、中国のカラフルでキッチュな絵付けの陶器「ニョニャ・ウエア」、ラブリーなパステルカラーのタイルなど、素敵なプラナカンの品々をオーダーしてきましたので「ハウス オブ ロータス」の店舗でお披露目できる日が今からとても楽しみです。