Love of Handicraft

繊細で透明感あふれるクリスチャンヌ・ペロションさんの器を初めて見たのは、もう10年以上も前のこと。茶道を嗜む弟が、ペロションさんのセラドン色の小ぶりの深皿を茶碗に見立てていて、爽やかな抹茶の色が器の淡い質感と美しく融合した景色に、惚れ惚れと魅入ったことを覚えています。
その後、ペロションさんが広尾で個展をされたときに、セラドン色の湯呑みを2種類と小皿を数枚購入しました。普段使いの和食器とも相性がよく、以来、長年愛用しています。
今回、ハウス オブ ロータスが再出発するにあたり、多くの女性に人生の豊かなティータイムの時間を過ごしていただきたいという願いもあって、ぜひとも私が愛用しているペロションさんのティーセットをご紹介したいと思いました。
早速、ペロションさんに連絡をとり、イタリア・トスカーナ地方にある工房に赴いたのが2016年12月のこと。自然豊かな田園風景に佇む門をくぐり、小高い丘を車で10分ほど上がっていきます。ようやく現れた石造りの元教会の建物がペロションさんのご自宅兼アトリエでした。
スイスで生まれたペロションさんは15歳のころから陶芸をはじめ、1970年代にご主人と一緒にトスカーナに移ってこられたのだといいます。ご主人と息子さんは農業を営んでおられ、敷地内にはオリーブ畑やワイン畑が広がり、牛、犬、猫、ニワトリ……たくさんの動物も共に生活しています。
ペロションさんに、建物の1階にある窯やアトリエをご案内いただいて、制作していただく器をオーダーしたあとは、2階のご自宅で手づくりのランチをごちそうになりました。キッチンには炭を使う小さな炉があり、そこで焼かれたパンやピザの美味しいこと! 
ご主人が腕を奮ってくださったアンティチョークのパスタも最高でした。もちろん食器はすべてペロションさんのもの。イタリアのこと、日本のこと、あれやこれやとおしゃべりをしながら至福の時間が過ぎていきます。

トスカーナの風と空気、静けさが漂う元教会の建物、あたたかなご家族。つくられる場所と日常の暮らしを知って、ますますペロションさんの器が好きになりました。ひとつひとつ手びねりやろくろでつくられ、優しい色の釉薬で彩られるペロションさんの器を、ハウスオブロータスでご紹介できるのが楽しみです。
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この旅の様子は、「おとなスタイル」春号に掲載中です。
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